星屑を砕いた夜の冷気
グラスの中で氷が鳴る。
それはまるで、星を砕く音。
「かち割りシャンパン」――
その正体は、樽詰スパークリングワイン〈ポールスター〉を氷で冷やし、
あえて“緊張”を解かずに仕上げた、禁じられた泡の一杯。
泡は軽やかに、だが確かに命を持つ。
舌に触れる瞬間、冷気が喉を走り抜け、
その奥で――ほのかな果実香と酵母の甘みが、
氷の隙間から囁くように顔を覗かせる。
本来ならば上品なバブル。
だが、氷を抱かせたことで姿を変えた。
気品の仮面を脱ぎ捨てた、野生の星屑。
どこまでもクールで、どこまでも刹那的。
ひと口飲むたび、
まるで夜の街のどこかで、記憶が弾けるような感覚。
甘く、冷たく、そして少し危うい。
「乾杯」という言葉の裏側に潜むのは――
忘れたい誰かの名前。
かち割りシャンパン。
それは、ポールスターが闇の側に堕ちた姿。
氷の奥で光る泡は、
もう戻れない夜を、永遠に閉じ込めている。


